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剣道の町道場マネジメント(2009)


 剣道の町道場の課題を明らかにし、町道場存続・発展のための町道場マネジメントを検討した。剣道の競技人口と町道場は、剣道ブームによって飛躍的に増加した。しかし、1990年代以降少年部門を中心として参加者の減少が顕著となり、競技者の高齢化が進行した。一方で、町道場のマネジメントに関する研究は行われておらず、今後予想される、競技人口や町道場の減少に対する対策はとられていない。

 そこで、本研究は全国の町道場の実態を示す定量データの分析と、全日本剣道道場連盟や複数の道場の関係者へのインタビュー調査を行うことによって町道場の特徴を把握し、先進的なマネジメントを行っている4つの道場に対するインタビュー調査およびフィールドワーク調査を実施することを通じて、マネジメントによってそれぞれの町道場が規模を維持し、発展していくための道筋を示した。

 本研究で得られた知見は以下の通りである。

 少子化によっていずれの道場も競技人口の減少による経営危機に陥る可能性があるが、そもそも、町道場は、施設の使用形態によって大きく2タイプに分けられ、マネジメントの課題も異なる。すなわち、伝統的に個人が町道場を所有している「私有型」と、戦後から剣道ブーム期(昭和40~50年代)にかけて増加した「公的施設利用型」があり、「私有型」は施設維持費や相続に多額の費用が発生するが、「公的施設利用型」は安価で施設を利用できるため、「私有型」が競技人口減少の影響を強く受ける。さらに「私有型」は個人が所有する道場であり、伝統的に道場主が家系によって受け継ぐことが多かったため、少子化や地方の過疎化の影響を受けて後継者の確保が難しい。

 こうした状況に対して以下の三点によって、町道場参加者数を維持あるいは増加させ、町道場を存続させられることがわかった。第一に、伝統的な剣道界の常識にとらわれず、非剣道実践者である保護者に剣道の良さを伝えられるような指導方法の工夫や、会費を次の参加者獲得のために活用するような仕組みの導入など、適切なマネジメントを行うこと。第二に、本来剣道の町道場が持っていた、多世代で多様な目的を持った愛好者が集まって稽古をし、交流することのできる仕組みを維持すること。第三に、「私有型」を個人所有からNPO法人所有にすることで、道場の参加者すべてが道場を支えることのできる仕組みを取り入れること。

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